コア技術は各社のストーリー=『『物語』を綴ること。
私たちは、各社の「採用」「教育」「処遇」の質的向上を、基本理念に基づくストーリー=『物語』として具体化し、それを理解し共感を得ながら浸透させる仕事を行っています。この「基本理念」の考え方は、ジム・コリンズの著書『ビジョナリーカンパニー』に基づいており、ここでの「基本理念」は「基本的価値観」と「目的」から構成されています。
「基本的価値観」とは「組織にとって不可欠で不変の主義」であり、「目的」とは「単なる利益追求を超えた、会社の根本的な存在理由」と定義されています。多くの会社では、社是や経営理念といった形で「会社が大切にすべきこと」が記されています。しかし、それらの言葉が掲げられてから時間が経つにつれ、その本来の意図が正確に伝わらず、「基本理念」が不明瞭になっている場合があります。
私たちは、経営者や従業員の方々に会社の歴史を語っていただき、そこに込められた想いや理念を再確認し、それをストーリー=『物語』として再構築するサポートを行っています。
「伝える手段」としての自社サイト=オウンドメディア
私たちの仕事は、各社固有の基本理念に基づき、一貫性のあるストーリー、つまり「物語」を描くお手伝いをすることです。採用の場面では、求職者に対して言葉を用いて理解と共感を得るためのストーリーを描きます。そして、そのストーリーを求職者に伝える手段として、ホームページを活用しています。
ホームページの制作や運用そのものが私たちの主な仕事ではありません。しかし、採用活動においては、各社固有のストーリー、『物語』を伝える手段としてホームページの活用が欠かせないものとなっています。私たちは各社の採用活動を成功に導く「手段」としてIT技術を活用しています。
このホームページも私たちが独自に制作・運営しています。現在、世界のWebサイトの約43%がWordPressで作られていると言われるほど、非常に普及しているCMS(コンテンツ管理システム)のひとつです。私たちもホームページ制作においてWordPressを活用しています。
WordPressには無料で使用できるテーマが数多く用意されており、基本的なホームページを構築するには十分な機能を備えています。しかし、企業やプロジェクトごとに求められるデザインや細かなカスタマイズのニーズに応えるには、無料テーマだけでは限界もあります。そこで、私たちは必要に応じて有料テーマやカスタム開発を組み合わせることで、より目的に適したホームページを制作しています。これにより、企業のストーリーやメッセージを効果的に伝える自社サイト=オウンドメディアを持つことができます。
世界最大級のECサイトEnvato Marketの活用。
私たちはオーストラリアに拠点を置くEnvato社が運営する、世界最大級のデジタル素材販売ECサイト「Envato Market」を活用して、WordPressのテーマを購入し、ホームページを制作しています。
Envato Marketでは、WordPressのテーマだけでも1万点以上が販売されており、デザインや機能性の多様さは圧倒的です。このECサイトには世界中のIT企業や個人クリエイターが出品しており、豊富な選択肢の中から適切なテーマを選ぶのは迷うほどです。
これまで私たちは、Envato Marketを通じてさまざまなWordPressテーマを購入してきました。その中で感じたことは、テーマの「売上実績」は重要な指標であるということです。世界中の企業や個人が厳しい目で評価した結果、「売れている」テーマには、それだけの理由があります。たとえば、優れたデザイン、直感的な操作性、豊富な機能、そして定期的なアップデートなど、売れているテーマには際立った「強み」を備えていることが特徴です。
一方で、サンプルとして示されているホームページのデザインに魅力を感じ、セールス実績をあまり考慮せずに購入したテーマもありました。しかし、そうしたテーマの中には、使い勝手が悪かったり、細かな設定ができなかったり、長期間アップデートが提供されなかったりと、満足できない点がいくつか見受けられました。
こうした経験から、テーマを選ぶ際には、デザインだけでなく、セールス実績やユーザー評価、サポートの充実度、そしてアップデート頻度を慎重に確認します。ホームページ制作においては、テーマ選びが全体のクオリティに大きく影響するため、時間をかけて慎重に選定することを心がけています。
そのEnvato Marketで長期間にわたり「Best Selling」を保持しているWordPressテーマが『Avada』です。このテーマは、WordPressユーザーの間で非常に高い評価を得ており、世界中で幅広く使用されています。
私たちもこれまでに複数回『Avada』を購入し、現在も運用しています。その使用経験から、なぜこのテーマが売れ続けているのか、その理由を実感しています。
たとえば、数多くのプリセットデザイン(デモサイト)が用意されており、企業イメージに応じて多彩な選択・カスタマイズが可能です。また、定期的なアップデートが実施されているため、 セキュリティ面での対応や、新機能の追加が行われており、長期間使用することができます。(定期的なアップデート実施の有無はとても重要です。)
価格は69ドルで、日本円に換算すると約1万円(為替レートにより変動します)程度です。この価格で提供される機能と品質を考えると、非常にコストパフォーマンスが高いと言えます。
日本語向けにカスタマイズが発生することも。
このホームページはEnvato Marketで購入した『Ohio』というテーマを使用して制作しています。『Ohio』を選んだ決め手は、その洗練されたデザイン性でした。価格は59ドルで日本円に換算すると約9000円(為替レートにより変動)でした。
Envato Marketで販売されているWordPressのテーマは基本的に英語表記が標準です。しかし、現在のブラウザ翻訳技術は非常に進歩しており、英語表示だからといって大きな支障を感じることはほとんどありません。Google ChromeやMicrosoft Edgeの翻訳機能を使えば、サイト内のテキストを手軽に日本語に変換することができるため、英語が苦手でも比較的容易に利用できます。
とはいえ、テーマが日本語環境向けに最適化されていない場合、カスタマイズが必要になることがあります。たとえば、日本語フォントの対応のサポートがない場合に調整を加える必要が出てきます。こうした作業が発生すると、関連情報をインターネットで調べる必要がありますが、その情報は主に英語で書かれたサイトに掲載されています。
特に、HTMLコードやCSS、JavaScriptといった技術的な内容を調べる際は、英語で検索し、海外のフォーラムや技術ブログから情報を得ることが一般的です。そのため慣れるまで少し苦労するかもしれません。
今回、『Ohio』テーマを使用してホームページを制作した際、コラムの読了時間がすべて「1 min read」と表示されることが判明しました。初めは設定の問題かと思いましたが、何度かテストを行った結果、英語で書かれたコラムでは文字数に応じて「10 min read」のように適切な読了時間が表示されることが分かりました。問題は、日本語の文章が認識されておらず、正しい読了時間が計算されないことにありました。これにより、修正作業の方向性が明確になりました。
しかし、ここからが少し大変でした。日本語対応のカスタマイズ作業に関する『先行事例』がほとんど見つからず、情報収集に苦労しました。特に、日本語特有の文字数の扱いや、読了時間を計算するためのアルゴリズムに関する情報は限られていました。その結果、数日をかけて試行錯誤を繰り返し、ようやくカスタマイズ作業を完了させることができました。
今後、日本で『Ohio』テーマを用いてホームページを制作する方の参考となるよう、私たちが行ったカスタマイズ作業の内容を『先行事例』として記録し、共有したいと思います。
サーバーにアクセスし、
「public_html」→「wp-content」→「themes」→「ohio」
→「inc」→「framework」→「components」→「helper.php」を編集。
「helper.php」の記述の中の、
static public function get_reading_estimate( $content ) {
$average_reading_speed = 140;
$estimate = ceil( str_word_count( strip_tags( $content ) ) / $average_reading_speed );
if ( !$estimate ) $estimate = 1;
return $estimate;
「str_word_count」を「mb_strlen」に変更。
加えて、
「average_reading_speed」も
140から320に変更することで、
より日本語の読む速度に近づけられます。
static public function get_reading_estimate( $content ) {
$average_reading_speed = 320;
$estimate = ceil( mb_strlen( strip_tags( $content ) ) / $average_reading_speed );
if ( !$estimate ) $estimate = 1;
return $estimate;
このように修正することで、
日本語を認識するようになり、
正確な読了時間が表示されるようになります。
世界中のサイトを見渡すと、同じような悩みを抱え、それを解決した「先行事例」が必ずどこかに存在します。その事例に早く、そして正確にたどり着く力は、大切なスキルと言えそうです。
※このコラム執筆後、『Ohio』テーマのテンプレートにアップデートが行われるたびに、私たちが修正したPHPコードが初期状態に戻されてしまうことが分かりました。その結果、コラムの読了時間が再び「1 min read」と表示される状況が続いています。テーマのアップデートは新しい機能の追加やセキュリティ改善のために必要不可欠です。私たちはこの課題について「海外製WordPressテーマとの付き合い方」と割り切り、状況に応じて対応策を講じながらホームページを運用していこうと思っています。
【参考・引用元】
・『ビジョナリーカンパニー 時代を超える生存の原則』ジム・コリンズ他(1995)