columnユーザーを意識した執筆活動とGoogle Adsense(コンテンツ連動型広告配信サービス)

ユーザーを意識した執筆活動とGoogle Adsense(コンテンツ連動型広告配信サービス)

私たちの仕事は各社の『物語』を綴ること。

私たちは、各社の「基本理念」=「基本的価値観」(組織にとって不可欠で不変の主義)+「目的」(単なる金銭的利益を超えた会社の根本的な存在理由)に基づき、「採用」「教育」「処遇」の場面で理解と共感を得るためのさまざまなエピソードを、一つの『物語』ストーリーとして綴る仕事を行っています。

ここで述べる「基本理念」の考え方は、ジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』に依拠しており、『物語』ストーリーを通じて理解と共感を得る手法は、ロバート・N・ベラーの『心の習慣――アメリカ個人主義のゆくえ』から着想を得ています。また、心理学におけるナラティブ・アプローチを取り入れている点も特徴です。

具体的には、各社の「基本理念」、つまり会社として大切にしたい想いに基づき、採用活動の場面では「当社が求める人材像」を軸に、獲得したい人材に向けて、次のようなエピソードを綴ります。
「当社の基本理念はこうで」
「基本理念は創業者の想いから生まれ、3代目経営者のもとで再解釈されてきた」
「基本理念に基づいた社風はこうで」
「社風を守るために設けた制度はこうで」
「そのような風土から生み出された商品はこうで」
「この基本理念を守りながら、次はこのような事業展開を目指しており、そのためにこうした人材を求めている」

このように、多様な視点からターゲットとなる人材に理解と共感を得るため『物語』ストーリーを執筆するサポート業務を行っています。

特に、採用の場面での自社の歴史や事業活動の『物語』・ストーリー化は、応募やエントリーを検討している求職者の理解と共感を得ることに繋がります。また、入社前に会社情報を十分に提供することで、入社後に感じる『リアリティショック』を軽減する効果も見込まれます。

きっかけはブログの執筆。

各社が伝えたくてもなかなか伝えきれなかった想いを、『物語』ストーリーとしてじっくりと浸透させていく。このような仕事や取り組みを始めたのは、数年前に遡ります。

最初は「今学んでいることをブログにまとめてみよう」と、軽い気持ちで執筆活動を始めました。ブログにまとめることで、学んでいることへの理解が深まるだろうし、発信することが学び続けるモチベーションになるかもしれない、そんな思いでした。

特にジャンルを絞らず、その時々に興味を持った本や、自分が読みたいと思った本を手に取り、あらすじを要約し、自分が大切だと思う部分を抜き出してブログに記録する。このプロセスを繰り返してきました。

執筆活動、つまりブログを始めたきっかけは、自分の学びを深め、継続するためでした。書いたものをブログで公開してはいましたが、読み手、すなわち対象はあくまで自分、自分のためだけに、本を要約し、まとめてブログにアップする日々が続きました。

自分が読みたいと思った本を読み、それをまとめたブログは、当初は完全に振り返りのためのものでした。しかし、気がつけば、1本あたり1,000文字から4,000文字の記事が50本を超え、ブログの閲覧数も日に数十から数百を超えるようになっていました。

ブログを始めて1年目に取り上げたテーマは、以下のような内容でした。
・採用・求職活動に関するテーマ
・経済に関するテーマ
・人事労務管理に関するテーマ
・カウンセリング技法に関するテーマ
これらはいずれも、自分の興味や関心に基づいたテーマでした。そのため、ブログへの記事投稿もストレスなく、コンスタントに続けることができたのです。

Google Adsenseとの最初の出会い。

もともと自分のためだけに始めたブログでしたが、ふと、「このブログに広告を載せることができるのでは?」という考えが頭をよぎりました。主目的から逸脱した期待ではありましたが、誰かに強制されて始めたものではなく、好きで始め、好きで続けていることです。ふと湧いたその思いに従い、行動に移します。

さっそく、ブログへの広告掲載について調べました。あまり深く考え込むこともなく、思いついてから1時間後には、Google Adsense(Googleが提供する広告配信サービス)の「審査をリクエスト」ボタンをクリックしていました。
(Google Adsenseを利用するには、Googleが定める審査に通過する必要があります。)

ブログを続けていた目的は、あくまで自らの学びのためです。しかし、もしそのようなブログで広告収入が得られるのであれば、それが副次的なモチベーション向上につながるのではないか、そのような軽い気持ちで、Google Adsenseの「審査をリクエスト」してみたところ、半日ほどで「Adsenseアカウントの有効化おめでとうございます!」というメールが届いたのです。

ふと収益化を思い立ち、即行動し、数時間後にはGoogle Adsenseの審査を通過してしまったため、意外にも嬉しさや達成感はありませんでした。

後になって分かったことですが、Google Adsenseの「審査リクエスト」には一定の傾向があるようです。「合格」の場合、審査リクエスト後半日から1日ほどで「有効化おめでとうございます!」というメールが届きます。一方、「不合格」の場合は、1週間ほど経ってから「残念ながら、お客様のサイトは広告を掲載する準備がまだ整っていないようです。」というメールが届きます。

さらに「不合格」の場合、メールには「サイトに広告を掲載できるようにするには、いくつかの問題を解決していただく必要がございます。」という記載があり、Googleを通じて広告を掲載するために必要な修正ポイントも詳しく案内される仕組みになっています。

ブログでの広告収入はごくわずかなものでしたが、好きで始めたブログや執筆活動を通じて、少しでも評価されたことはとても嬉しく感じました。


執筆活動の目的の変わり目。

興味や関心を長期間持ち続けられるテーマで、広告収入を主目的とせず、学びを深めるために続けていたブログでの執筆活動。だからこそ、執筆に対するストレスやプレッシャーを感じることなく継続できた活動でした。そんなブログで、ほんのわずかでも収入を得られたことがきっかけとなり、次第に広告収入を主目的とするブログを設計し始めることになります。

最初は自分の興味関心や好きなことだけで始めたブログが、広告収入を得られる可能性が見出され、次第に「より多くの広告収入を得られるサイトを構築する」という新たな目標が芽生え始め、ブログ運営の主目的が「自分の好き」から「広告収入を得る」へと変化していきます。

より多くの広告収入を得るには、より多くの人に見られるサイトが必要です。多くの人に見られるには、多くの人が興味や関心を抱くジャンルでサイトを構築する必要がありました。こうして(自分の興味関心にかかわらず)「旅」と「グルメ」をテーマにしたサイトを新たに立ち上げることに。

週末には何とか「旅」に出かけ、無理にでも「グルメ」記事になりそうな店を訪れ、1,000文字から4,000文字の記事を30本ほどアップします。その結果、「旅」と「グルメ」をテーマにしたサイトは、最初に始めた「勉強」をテーマとするブログよりも『狙い通り』多くの閲覧数を獲得することに成功しました。

しかし、サイトの立ち上げから約6ヵ月後、広告収入を主目的とした「旅・グルメ」のサイトをGoogle Adsenseに「審査リクエスト」したところ、1週間後に届いたメールには、「残念ながら、お客様のサイトは広告を掲載する準備がまだ整っていないようです。」と記載されていました。Google Adsenseの審査に「落ちた」のです。

「旅・グルメ」サイトは、広告収入を得ることを目的に、多くの人が共通して興味を抱くと考えたテーマで記事を執筆してきました。その結果、最初に始めた「勉強」ブログよりも高い閲覧数を数か月にわたって維持していました。しかし、Googleの判断は、「旅・グルメ」サイトに広告を掲載する価値はない、というものでした。

『狙って』広告掲載を目指し、Google Adsenseに(広告掲載に)挑戦しただけに、今回の「不合格」の通知はショックでした。

生み出したコンテンツに価値はなし。そこから。

それでもGoogleは親切で、「不合格」の理由をしっかりと添えてくれます。その理由は「有用性の低いコンテンツ」でした。

「有用性の低いコンテンツ」とは、サイトにアップした記事の質が低いことを指します。Googleが有益と判断する基準は「ユーザーがアクセスしたくなるような独自性と関連性の高いもの」であり、「ユーザーに対する付加価値が不十分なサイトは、アフィリエイトプログラムにご参加いただけません」と明確に示されています。

最初にGoogle Adsenseに「合格」したサイトは、自らの学びを主目的として運営していました。その延長線上で、偶然Google Adsenseの存在を知り、思いつくままに「審査のリクエスト」を行い、たまたま審査に通過したのでした。そのため、運営するサイトがユーザーにとって「有益」であるかどうかを俯瞰的に考えることはありませんでした。

広告掲載(広告収入を得ること)を目的に開設した「旅・グルメ」サイトでは、6ヵ月余り苦労して記事を執筆し続けたにもかかわらず「有用性の低いコンテンツ」と判断され、広告掲載は叶いませんでした。

しかし、Googleから「有用性の低いコンテンツ」と判断されたことで、サイト制作に真摯に向き合うことになります。
ターゲットとしているユーザーはどのような人なのか。
・そのユーザーが望んでいる情報とは何か。
独自性のある、付加価値の高い情報とはどのようなものか。
・独自性のある情報を発信し続けられる領域はどこなのか。

これらのことを意識し、反映させた記事数を50本に増やした状態で、最初の「不合格」から3ヵ月後に再度「審査のリクエスト」を行いました。しかし結果は、再び「有用性の低いコンテンツ」との理由で「不合格」となりました。
こうなると途中で引くこともできなくなり、さらに、
・対象ユーザーの明確化
コンテンツの独自性の追求。
付加価値の訴求、
を意識して、新たな記事を20本執筆するとともに、サイト開設当初に作成したとみられる「有用性の低いコンテンツ」と判断された記事約30本を削除しました。そして、3度目の「審査のリクエスト」に挑戦しました。

広告掲載を主目的としてサイトを開設してから約12ヵ月。2度の審査「落ち」を経験し、ようやく「サイトにAdsense広告を配信する準備ができました」とのメールが届いたのです。

好きでなければ「学び」は続けられない。

約1年間、多くの時間と取材費を費やして運営した「旅・グルメ」サイトは、Google AdSenseで広告を掲載することを主目的として開設しました。1年掛けて、ようやくGoogle AdSenseに「合格」し、サイトに広告が掲載されたことで一つの目標を達成しました。目標が達せられてしまってからは、新しい記事をアップすることをやめてしまい、広告掲載を始めた日が、このサイトの最終更新日となりました。

この経験を通じて、Google AdSenseと2つのサイトに向き合った結果、以下のことが分かりました。
自分の興味や関心が高く、好きなジャンルでなければ、独自性や付加価値のあるコンテンツを生み出すために必要な「学び」を継続するのは難しい
広告掲載を主目的としたサイト運営は、非常に労力を要するもののそれに見合う対価を得るのは難しい

約1年という時間を費やし、3度目のトライでようやく「合格」した「旅・グルメ」サイト。しかし、旅にもグルメにもあまり興味がなかったにもかかわらず、「多くの人が関心を持つテーマでコンテンツを作成すれば、広告収入を得られるのではないか」という打算のもとで運営していました。興味の薄いテーマについて学び続け、コンテンツを作成することは、正直非常に辛いものでした。

途中で投げ出すのが嫌だったため、辛くても多くの情報を集め、「旅・グルメ」のジャンルで独自性や付加価値が高いと思われるコンテンツを作り続け、目的としていたGoogle AdSenseの広告掲載を実現しました。しかし、それが私にとってのピークであり、興味が湧かないジャンルで挑戦し続ける(学び続ける)ことはできず、約1年を費やしたサイトは、更新されないまま放置されています。

最初のサイトは特に目的を設けず、自分の興味関心の高いジャンルにおける「学び」を記事にしたものでした。
続く2つ目のサイトは、広告掲載を目的に、興味関心の薄いジャンルであったにも関わらず「旅・グルメ」サイトの収益化に挑戦しました。どちらのサイトもGoogle AdSenseに合格し、広告が掲載することが叶い、とても貴重な経験を得ることができました。
そして3つの目サイトとして、これまでの「学び」と経験を活かし、新卒求職者向けの「就活ノウハウ」サイトを立ち上げ、このサイトもGoogle AdSenseに合格し、現在では複数の運営サイトでGoogle Adsenseを経由した広告の掲載しています。

現在取り組んでいます各社の基本理念に即した「物語」ストーリーを通じた「採用」「教育」「処遇」の改善は、これまでの経験をフルに活用していることは言うまでもありません。


【参考・引用元】
・『ビジョナリーカンパニー 時代を超える生存の原則』ジム・コリンズ他(1995)
・『心の習慣―アメリカ個人主義のゆくえ』ロバート・N・ベラー他(1991)

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