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「何を信じて、いかに内省を続けるか」―私たちの仕事の指針。

『労務管理』のはじまりと「心理的安全性」

さまざまな偶然が重なり、学校を卒業して最初に就いた仕事が、『労務管理』の高度化を設立動機とする団体での業務でした。この選択は、後から振り返ると運命的なものであり、私のキャリア形成において重要な意味を持つものでした。

新入社員として配属された当初から、団体が主催する各種『労務管理』に関する研修やセミナーに運営スタッフとして携わる機会をいただきました。日々の業務を通じて、労務管理という分野がいかに幅広く、かつ深遠なものであるかを目の当たりにしてきました。最初は単純な裏方業務として、参加者の受付や資料の準備、会場設営などを担当していましたが、次第に企画段階から関わるようになり、研修プログラムの立案、募集案内の作成、講師との調整、さらには当日の進行までを一手に担うようになりました。このプロセスを通じて、労務管理の奥深さや重要性について徐々に理解を深めていきました。

労務管理について学ぶ中で、私が特に興味を持ったのは、その理論的な背景でした。教科書的には、1924年から1932年にかけて、ハーバード大学の心理学者エルトン・メイヨーによって行われた「ホーソン実験」が労務管理論の出発点とされています。この実験は、ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で実施されたもので、従業員の生産性職場の環境要因や金銭的インセンティブだけでなく、職場の人間関係や心理的要因にも大きく左右されることを明らかにしました。これは人間中心のアプローチを含む労務管理の基礎となったのです。

「ホーソン実験」で得られた最も大きな研究成果は、仕事の能率は職場の人間関係によって大きく左右されうる、ということを見出したことでした。この研究から、仕事の生産性を高めるため、従業員間の人間的な側面に焦点を当てたさまざまな研究が行われていきます。

最近では、エルトン・メイヨーと同じハーバード大学のエイミー・エドモンドソンが1999年に提唱した「心理的安全性」の考え方が注目を集めています。Google社がこの概念を基礎として社内実験を行い、「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」ことを2015年に発表し、大きな話題となりました。

「心理的安全性」とは、個人が自分の意見を言うことや失敗を認めることによって批判や叱責を受けるのではないか、という不安を感じる事のない状態を持つことを指します。この概念は、企業の生産性だけでなく、審業員のやる気やイノベーションに大きな影響を与えることが明らかになりました。

今から約100年前に行われた「ホーソン実験」は、職場の人間関係における主要な結論を示しました。「同じ職場で働く従業員間の人間関係が良いほうが生産性が高い」という発見は、その後の人間関係の研究に大きな影響を与えました。そして、100年後の2015年、世界をリードするIT企業であるGoogleは、職場の人間関係が良好なチームほど生産性が高いことを再確認しました。この結論は、職場の人間関係の重要性を改めて意識させる機会となっています。

『労務管理』の共通性

100年間の歴史の中で、仕事の生産性を高めるための「労務管理」手法を見出すために、世界中の研究者が数多の実験を行い、数え切れないほど膨大な研究成果や新たな解釈を積み重ねてきました。

極端な例かもしれませんが、 1930年の「ホーソン実験」で明らかにされた 「人間関係」の良さがチームの生産性を高める、 という研究成果は、 2015年の「心理的安全性」が高いチームの生産性が高かった、 という実証実験の成果と一致しており、「職場を同じくする人とは仲が良い方が生産的な仕事ができる」というコアとなる主張は、時代を越えて共通しているように思えます。

その他にも、 1959年にフレデリック・ハーツバーグ「二要因理論」で主張した 「仕事の満足」は、 「達成すること」、 「承認されること」、 「責任」、 「昇進」、 「仕事そのもの」であり、 逆に「仕事の不満足」は 「給与」、 「会社の政策と管理方法」、 「監督(上司との関係)」である、 という考え方は、 60年以上経った今でもあてはなるものと思われます。

これらの研究成果は社会、産業経済などの変化にもかかわらず、人が働く場面において有用性を失わないものと考えられます。

実践すること、内省すること。

膨大な研究成果の中で、世界中の研究者や実務家からの批判に耐えながら今日まで受け継がれてきた『労務管理・労務管理論』には、地域や世代を超える普遍性が含まれている可能性があります。その背景には、時代や環境が変化してもなお、多くの企業や組織が共通して直面する課題を解決するための指針を「理論」が提供してきたという実績があるからかもしれません。

私がこの分野で大切にしていることの一つは、自らの価値判断に基づいて、普遍的と思われる理論を深く信じることです。しかし、それだけでは十分ではありません。企業や組織の実態に適応させるため、理論を実際に適用する際には常に内省を行い、状況に応じた最適化を続ける努力が求められます。労務管理の理論や方法論が一定の普遍性を有しているとはいえ、それらの知見を活かすには実際の職場における適切な運用が不可欠となるからです。

最近の研究や実践の中で注目されている「心理的安全性」を例に挙げてみましょう。心理的安全性とは、「チームの誰もが、批判や非難を恐れることなく、自分の考えや気持ちを率直に発言できる状態」と定義されています。この概念は、個人の自由な発言が許容される環境が、チーム全体の生産性や創造性の向上に寄与することを示しています。

実際、Google社が行ったプロジェクト・アリストテレスと呼ばれる実証研究では、心理的安全性が高いチームほど、生産性が高く、メンバー同士の協力がスムーズであるという結果が得られました。この結果自体は、理論としても直感的に理解しやすいものかもしれません。多くの人が、自分の意見を安心して表明できる環境のほうが、より良い仕事ができるという経験則を持っているでしょう。

しかし、こうした理論が広く認知されているにもかかわらず、実践の難しさが指摘されます。特に日本の企業文化においては、上下関係や暗黙の了解が強調される場面が多く、自由に意見を述べることが難しいケースが少なくありません。そのため、「心理的安全性」をチームに取り入れるには、単に理論を学ぶだけでなく、実際の現場での運用を見直す必要があります。

職場の人間関係が良い方が生産性が高まる、ということは、実に100年以上前から広く知られています。現在でも、職場の人間関係をテーマとした研修やセミナーは頻繁に開催されています。

しかし、職場で導入した『労務管理』施策が本来の目的を果たし続けるためには、施策そのものの運用状況や効果を継続的に見直し、改善する姿勢が必要となります。この「内省」のプロセスこそが、労務管理の成功を支える鍵だと考えられます。

その労務施策が本当に職場の風土に適しているのか。
当初の目的を達成できているのか。
改善すべき点があるのか。
職場全体に労務施策の重要性が浸透しているのか。

このような導入後の内省と改善を繰り返すプロセスこそが、理論で明らかにされた生産性を高める職場の状態を維持するための基盤となります。

「何を信じて、いかに内省を続けるか」

日々、新しい知見や研究成果が次々と生み出され、瞬く間に世界中に発信されています。私たちはこれまでにないほど多くの情報にアクセスできるようになりました。しかし、この情報過多の時代において、膨大なデータの中から「何を信じるべきか」を判断することは、非常に難しい課題となっています。

さらに、信じた考え方・理論を組織に浸透させるためには、継続的な「内省」の姿勢が求められます。内省とは、過去の行動を振り返るだけでなく、その行動の背景にある価値観や目的を再確認し、常に「今」に適合させ続ける改善のプロセスです。

「何を信じ、いかに内省を続けるか」。
この問いは私の基本的な指針であり、行動や判断の原点とも言えるものです。


【参考・引用元】
・『産業文明における人間問題』エルトン・メイヨ―(1967)
・『仕事と人間性―動機づけ‐衛生理論の新展開』フレデリック・ハーツバーグ(1968)

勝田環境グループ幹部忘年会

2023年12月15日に勝田環境グループの幹部で集まり忘年会をおこないました。

鹿島アントラーズのスポンサー加入

来年(2024年)、勝田環境(株)は鹿島アントラーズとスポンサー契約を結びました。

厳しい『人材不足』の状況をざっと把握してみます。

『人手不足』と『人材過剰』の遷り変り。

近年、仕事を通じてお会いする経営者や役員の方々から、「求人を出しても人が採れない…」、「人材が不足して困っている…」という声を頻繁に耳にします。日本の労働市場はここ十数年で大きく変化しており、採用環境の激変が浮き彫りになっています。

2000年代前半、いわゆる『就職氷河期』に就職活動を行った私からすると、現在の求人数が多く求職者が少ない状況は、求職者目線ではなんとも羨ましい状況に映ります。私が経験した時代は典型的な「買い手市場」であり、採用側が圧倒的に有利でした。当時、採用担当者の中には高圧的な態度で接する方も少なからずおられ、就職活動そのものが厳しい試練だったことを今でも覚えています。

おおよそ1995年頃から2005年頃までが国からも認定された『就職氷河期』で、まさに買い手市場の時代でした。その後、2010年頃から始まったと言われる『売り手市場』は、現在に至るまで続いています。この売り手市場では、求職者の立場が相対的に強くなり、企業は採用戦略を抜本的に見直さなければならない状況となりました。

就職氷河期世代の就職活動は、エントリーシートや面接での自己アピールに注力することが必須でした。「志望動機」や「自分の強み」を明確化するために自己分析を行い、企業に対して「自分がいかにその企業で貢献できるか」を徹底して理論武装して臨む必要がありました。

一方、現在の売り手市場では状況が逆転しています。企業側が求職者に対して、自社の魅力をいかに効果的にアピールできるかが採用活動の鍵となっています。企業は従来の採用手法に加え、SNSを活用した採用活動や、企業ブランディングを強化して自社の魅力を伝える取り組みが増えています。また、採用のミスマッチを減らすために、インターンシップや職場見学といった具体的な職場体験の機会を提供する企業も増加傾向にあります。

「当社で働くメリット」や「当社の社風」、さらに具体的な報酬や働きがいについて、求職者に魅力的に伝える必要性がこれまで以上に高まっています。

「人が募集しても集まらない」、「採用が厳しい」といった経営者、採用担当者の悲痛な声を聞きますが、では実際、現在どの程度『人手不足』なのでしょうか。
これからの採用戦略を考える上でも、その状況をざっと把握してみたいと思います。

近年の『人手不足』の始まりは2013年頃から。

「人手不足」や「人材過剰」を示す際に、最もよく引用される調査・統計の一つが、日本銀行が実施する「全国企業短期経済観測調査」、通称「日銀短観」の雇用人員判断です。

日銀短観では、D.I(Diffusion Index:拡散指数)を用いて、企業の雇用人員の過不足や業況感を数値化しています。具体的には、D.Iは企業の回答結果をもとに計算され、指数がマイナスであれば企業が「人手不足」状態にあることを示し、プラスであれば企業内の人員が「過剰」気味であることを示します。

この指標に基づくと、日本企業が本格的に「人手不足」の状況に直面し始めたのは2013年頃からであることが明らかです。特に、建設業や介護業界、IT業界などでは人手不足が顕著であり、企業は採用戦略の見直しを余儀なくされています。

さらに、D.Iのトレンドを見ると、少子高齢化や働き方の多様化などの影響を受け、人材の需給バランスが継続的に崩れつつあることが読み取れます。これは、単に労働人口が減少しているだけではなく、求職者が希望する職種や働き方と、企業が求める人材像とのミスマッチが背景にあるとも考えられます。


「バブル経済の崩壊」「リーマン・ショック」「コロナ禍」。

2013年頃から始まった『人手不足』問題は、年を追うごとに深刻化しています。この背景には、少子高齢化の進展による労働人口の減少や、多様な働き方へのニーズの高まりなど、複数の要因が絡んでいます。

2020年には、新型コロナウイルス感染症の拡大による行動制限が課せられたことで、一時的に『人手不足』が緩和されました。観光業や飲食業などのサービス業を中心に需要が大きく落ち込み、多くの企業が採用を控える動きが見られたためです。しかしながら、2021年には順次経済活動が再開され、企業が再び人材を求めるようになると、直ちに『人手不足』が露呈しました。

さらに、2023年9月に実施された調査では、企業規模全体での雇用人材判断が△33と、過去30年間で最も深刻な状況にあることが明らかになりました。この数値は、労働市場における需要と供給のギャップを示しており、製造業や物流業、小売業など幅広い業界で影響が見られます。

企業規模別に見ると、人手不足の状況は以下のような傾向を示しています。
中小企業△36
中堅企業△34
大企業 △24
ここからも中小企業は、特に厳しい状況に直面していることがわかります。一方で、大企業も比較的高い給与水準や福利厚生を提供できるにもかかわらず、人材確保に苦労している点は注目に値します。これは、大企業であっても求められるスキルの専門性が高まっていることや、若年層を中心に働き方に対する価値観が多様化していることが一因とも考えられます。

1987年から1991年までの期間は、日本の経済が異常な過熱を示した「バブル経済期」として知られています。この時期は、不動産や株式市場が過熱し、経済全体にわたる過剰な投資と消費活動が行われていました。しかし、このような経済な過剰過熱は長続きせず、日本が「失われた〇〇〇年」と呼ばれる停滞期に突入する分水嶺となります。

1991年2月の調査では、経済の過熱を反映する形で、企業規模全体でのDI(人手不足指数)が△46に達しました。規模別では、中小企業が△47、中堅企業が△50、大企業が△40という結果で、すべての規模で深刻な『人手不足』が見られました。この『人手不足』の状況は約5年にわたり続き、経済活動の過熱とその後の崩壊を象徴する時期となりました。

一方で、1993年頃から急速に経済状況が悪化し、『人材過剰』(人手余り)の状態に転じました。この時期には、新卒者が正社員として雇用される機会が大幅に減少し、いわゆる「就職氷河期」が到来しました。1993年から2005年頃までの約12年間にわたり、多くの若者が安定した雇用を得ることができず、数百万人規模の未就職者を生み出す結果となりました。

さらに、2008年9月に発生した「リーマン・ショック」による世界的な金融危機も、『人材過剰』の状況を引き起こしました。この危機の影響で、2008年後半から2011年頃までの比較的短期間ではありますが、企業が求人数を大幅に削減し、雇用情勢が再び悪化しました。

これらの歴史的な流れを見ると、日本の労働市場は経済状況の変動に敏感に反応していることがわかります。『人手不足』と『人材過剰』という二つの対極的な状態を繰り返す中で、企業と労働者の双方が適応を迫られてきました。

産業別では建設業の『人手不足』が際立つ結果に。

調査結果から、現在の労働市場は中小企業や大手企業といった従業員規模にかかわらず、『人手不足』の状況が広がっていることが分かります。それでは産業別の『人手不足』の状況については、どのような傾向が見られるのでしょうか。独立行政法人中小企業基盤整備機構の調査によると、産業別の『人手不足』を示す数値は、
小売業△13.1
卸売業△18.6
製造業△19.4
サービス業△25.7
建設業△38.5
となっており、すべての産業で『人手不足』が顕在化していることがわかりますが、とりわけ建設業における『人手不足』は深刻な状況にあります。この背景には、建設需要の高まりや、高齢化による現場作業員の減少が挙げられます。さらに技術者や熟練作業員の不足が顕著となっています。

サービス業でも△25.7という高い数値が示しているように、『人手不足』が深刻化しています。これは、飲食業や宿泊業などの業種において、コロナ禍からの回復に伴い需要が急増した一方で、従業員の確保が追いついていない状況があります。

また、製造業や卸売業でも『人手不足』が進行しています。これらの業界では、従来型の現場労働力だけでなく、デジタル技術やAIを活用できる高度な知識・技術を有した人材の不足が課題となっています。


人材確保の施策は「給与水準を引き上げる」。

企業規模や産業を問わず、全般的に『人手不足』に陥っている状況についておおよその傾向が把握できました。
最後に、企業が人材を確保するためにどのような施策を講じているのかを見てみましょう。
企業等の人材不足、人材確保に対する対応策としては、
「給与水準の引き上げ」63.6%
「長時間労働の是正」46.7%
「再雇用などシニア人材の活用」34.5%
「福利厚生の拡充」31.3%
「賞与の引き上げ」26.0%
「育児・介護などと両立できる制度の整備」25.8%
「外国人従業員の雇用」18.9%
「研修など能力育成制度の整備」15.0%
となりました。

この調査結果では、「給与水準の引き上げ」が最も多い『人手不足』解消策として挙げられています。企業は人材確保のために報酬面での魅力を高めようとしていますが、実際には、経済的な制約や業界の慣行などから、給与水準の引き上げに踏み切れない企業も少なくありません。

また、「長時間労働の是正」が次いで多い施策となっている点も注目されます。「再雇用などシニア人材の活用」や「福利厚生の拡充」も重要な施策として挙げられています。


いつかは『人材過剰』の時期が訪れる…?

今回は『人材不足』の状況について概要を見てきました。これまでの経験則から見ると、『人手不足』の時期と『人材過剰』の時期は、10年から15年のスパンで交互に訪れる傾向があります。

例えば、2008年の「リーマン・ショック」に端を発する世界的な経済危機の余波による『人材過剰』の時期が続き、それを脱したのが2011年頃でした。それから約12年が経過し、現在では再び『人手不足』が深刻な課題となっています。このように、労働市場は歴史的に景気循環と密接に関係しており、『人手不足』の時期が長く続いたとしても、いずれは『人材過剰』のフェーズが訪れることが過去のデータからも示唆されています。

では、現状の『人手不足』がどのように変化し、『人材過剰』の時期に移行する可能性があるのでしょうか。
これは、経済状況や産業構造の変化、技術革新の進展、そして労働市場のグローバル化など、複数の要因に影響されます。少子高齢化が進行する日本では、労働人口が減少しており、『人材過剰』の状況が過去と同じ形で訪れるかどうかは不透明ではありますが、
過去の歴史から学びつつ、労働市場の変化に適応する準備を日頃から心掛けておくことが求められていると言えます。


【参考・引用元】
『第198回全国企業短期経済観測調査-2023年9月-』日本銀行調査統計局(2023)
『第173回中小企業景況調査(2023年7‐9月期)』独立行政法人中小企業基盤整備機構(2023)
『2023年版中小企業白書 小企業企業白書』中小企業庁編(2023)

なんとなく社会の活力が無くなったような、を考えてみます。

物憂げな雰囲気はどこから。

1990年前半のバブル経済の崩壊以降、社会全体の活力が徐々に失われているように感じられます。この時期を境に、日本の経済や社会は、かつての勢いを取り戻すことが難しい状況に陥っています。

2000年代中頃には、バブル崩壊から「失われた10年」という言葉が広く使われていました。しかし、2023年現在では、その期間がさらに長引き、「失われた30年」とも呼ばれるようになっています。このような状況が続くことに対して、焦燥感を抱くのは無理もありません。

世界的に見ても、経済は安定を保つことが難しい時代が続いています。2000年代前半には、主にアメリカを震源地とするITバブルの崩壊が起こり、その後2008年にはリーマンショックという大規模な金融危機が世界経済を揺るがしました。これらの出来事は、日本だけでなく、世界全体に大きな影響を及ぼしました。

日本経済は、「失われた〇〇年」と語られるほど長期間にわたり停滞しており、その間に世界的な経済危機が発生するたびに、さらなる不安感が社会を覆ってきました。これらの危機的状況は、経済的な損失だけでなく、社会全体の心理的なダメージも大きく、将来に対する希望や自信を削いできたように思われます。

このような状況下で、日本が再び活力を取り戻すためにはどのようなことが必要なのでしょうか。

日本経済は『内需』が支えている、と言われてきた。

暗い経済ニュースが覆う中でも、日本国民を安心させる一つの材料が、「日本のGDPの多くは『内需』が支えているので、外需の動向によって最悪の状況には陥ることはない」という点でした。

確かに、輸出額の対GDP比(輸出額÷GDP)を見てみますと、2021年時点で日本の輸出額の対GDP比は15.10%と、GDPの8割以上を内需で賄う「内需型経済」であることが分かります。この統計を見る限り、「『内需』が日本経済を支えている」との説明は間違いではなさそうです。

ただし、「内需型経済」とはいえ、日本は世界の輸出額ランキングで第4位を維持しており、依然として「輸出大国」としての地位も持っています。2021年の輸出額で見ると、1位は中国で3兆3630億ドル、2位はアメリカで1兆7534億ドル、3位はドイツで1兆6367億ドル、そして第4位の日本が7560億ドルとなっています。輸出額で比較すると、中国が日本の4倍以上、ドイツも日本の2倍以上の規模を誇っています。

特に中国との比較では、2000年までは日本の輸出額が2492億ドルだった中国を大きく上回る4792億ドルでした。しかし、日本の輸出額が中国に越されたのは2005年のことで、この年は日本が5949億ドル、中国が7620億ドルと、中国の輸出額が急速に増加しました。そして、2010年には中国の輸出額が1兆5777億ドルに達し、アメリカ(1兆2784億ドル)、ドイツ(1兆2584億ドル)をも追い越し、輸出額で世界第1位となりました。

また、1995年時点では、ドイツの輸出額が5234億ドル、アメリカが5847億ドル、そして日本が4431億ドルと、「三大輸出大国」とも言える状況でした。しかし、その後の約20年間で日本はドイツやアメリカに倍以上の差をつけられ、現在では第4位というポジションに落ち着いています。

これらのデータは、日本が依然として輸出大国でありながらも、内需への依存度が高い特性を持つことを示しています。一方で、グローバル市場での競争力強化と、国内市場の持続的な成長を両立させる必要性があることも浮き彫りになっています。これからの日本経済を考える上で、内需と外需のバランスをどのように最適化していくかが重要な課題となりそうです。



IMFによる2022年の名目GDPランキングでは、アメリカが25兆4627億ドルと桁違いの額で第1位、中国が17兆8863億ドルで第2位、日本が4兆2375億ドルで第3位、ドイツが4兆0856億ドルで第4位となっています。このデータを見ると、日本は僅差ではありますが名目GDPでドイツを上回っています。

しかしながら、2022年時点で名目GDPではドイツを上回っているものの、2024年にはドイツが日本を追い抜くという予測もあります。この背景には、日本とドイツの経済構造の違いが大きく関係していると考えられます。日本はGDPの8割以上を「内需」で賄う「内需主導型経済」であるのに対し、ドイツは日本の倍以上の輸出額を誇る「輸出大国」として知られています。

さらに、「内需」を生み出している総人口に目を向けると、2022年時点で日本の総人口は1億2510万人であるのに対し、ドイツは8400万人日本の約7割程度に過ぎません。それにも関わらず、ドイツは日本に匹敵するGDPを稼ぎ出しているのです。このことから、ドイツは内需に加え、輸出を軸とした効率的な経済運営を行っていることが浮かび上がります。

また、ドイツは「1時間当たりの生産性が高い仕事をしている国」として知られており、この点もドイツの高い経済効率性を説明する鍵となります。具体的には、ドイツの製造業が世界市場で高い競争力を持ち、特に自動車や機械といった分野で圧倒的なシェアを誇ることが挙げられます。また、職業訓練制度や労働者の高いスキル水準も、ドイツの生産性の高さに寄与している要因といえるでしょう。

一方で、日本は総人口がドイツよりも多いものの、少子高齢化や労働力人口の減少が経済成長を制約する要因となっています。さらに、内需に依存する経済構造は、外需に比べて成長のスピードが限られるという特性を持っています。そのため、日本が持続可能な成長を実現するためには、労働生産性の向上や技術革新を進める必要がありそうです。

「内需」を生み出しているのは国民

社会の「活力」は経済活動のみで決まるわけではありませんが、経済が堅調に成長することで、所得が増え、家計が潤えば、生活必需品を購入するだけでなく、文化や芸術にも多くの時間とお金を費やすことができるようになります。その結果、物質的な豊かさだけではなく、本物の「豊かさ」を享受できる社会が実現するのだと思われます。

2023年現在、日本は名目GDPで世界第3位の地位を維持していますが、そのGDPの8割以上を「内需」に依存していることが特徴的です。しかし、「内需」の基盤となる総人口は、2008年の1億2807万人をピークに減少を始め、15年後の2023年には1億2445万人と、約363万人の人口が失われました。この人口減少は、日本の経済活動全体に大きな影響を及ぼしています。

さらに、未来の人口動態を示す出生数に目を向けると、2008年の出生数が109万人だったのに対し、2022年にはわずか77万人と、30万人以上減少しました。この数字は、今後の労働力人口の減少を示唆しており、日本経済にとって深刻な課題となっています。15歳未満の人口も、2022年時点で1450万人と総人口の11.6%を占めるに過ぎず、この割合は過去最低を記録しています。

こうした少子高齢化と人口減少の問題が進行する中で、日本の経済を支える「内需」はどのように変化していくのでしょうか。現状のままでは、内需の縮小が避けられず、経済成長を阻害する要因となる可能性が非常に高くなっています。
日本がこれからも経済的に豊かで活力ある社会を維持するためには、人口減少や少子高齢化という現実に向き合い、長期的な視点で解決策を講じる必要がありそうです。



「内需主導型経済」と人口減少社会、そして今の物憂げな雰囲気

最近、なんとなく社会全体の活力が欠けているように感じる人は少なくありません。このような感覚の背景には、経済的な側面が大きく関わっている可能性があります。

まず、日本は依然として世界第3位の名目GDPを誇る経済大国であり、輸出額では世界第4位を維持する輸出大国でもあります。この点では、国際的に見ても日本の経済力は依然として高いといえます。しかし、その経済構造を詳しく見ると、日本経済の大部分を支えているのは「内需」であり、GDPの84.9%が国内需要によって成り立っています。

その一方で、「内需」を支える源泉である人口が急速な減少傾向にあります。総人口は2008年の1億2807万人をピークに減少を始め、2023年には約1億2445万人となり、この間に約363万人が減少しました。この人口減少は、労働力や消費者層の減少を意味し、「内需」の縮小につながる懸念があります。

さらに、未来の人口動態を占う重要な指標である出生数も2008年の109万人から2022年には77万人へと減少しており、約30万人もの差が生じています。これに伴い、15歳未満の人口割合も11.6%(2022年)と過去最低水準となっています。このような少子化の進行は、長期的に日本の経済活力を削ぐ要因となっています。

「内需」が日本経済を長年支えてきたものの、人口減少という大きな課題に直面し、将来的な内需の縮小が避けられない現状が浮き彫りになっています。その結果として、「なんとなく活力がない」「社会全体が元気を失っている」といった感覚が醸成されているといえそうです。

日本が再び活力を取り戻し、社会全体が元気を取り戻すためには、個人、企業、政府が一体となって取り組むべき課題が山積しています。それらを一つ一つ解決していくことで、未来への希望を再び見出していきたと思います。


【参考・引用元】
『令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況』厚生労働省(2023)
『輸出額の対GDP比(上位50)』一般財団法人国際貿易投資研究所(2023)
『世界各国の輸出額-上位60』一般財団法人国際貿易投資研究所(2023)
『令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況』厚生労働省(2023)
『人口推計2022年(令和4年)10月1日現在』総務省統計局(2023)

お母さん支援制度制定

これまで、働きたくても子供の体調不良や休園などで子供の面倒をみるために休まざる負えなかったお母さん達を支援するために、新たに育児室をつくり、子供の面倒をみながら働ける環境を作りました。

ハロウィーン

受付がハロウィーン仕様になりました。

人的資源管理の質を高めます

海坂カンパニーのMission

世界の総人口は1950年代以降、驚異的なスピードで増加を続けてきました。1950年時点では約25億人と推計されていた世界の人口は、2023年には80億人を超え、約70年で3倍以上に膨れ上がりました。

一方で、日本の人口動向は対照的です。2008年に1億2,808万人でピークを迎えた後、減少に転じました。2023年には1億2,445万人と、わずか15年で約363万人が減少した計算になります。この変化は、少子化と高齢化が急速に進行している日本特有の社会課題を如実に表しています。

人口減少の兆しは2008年以降明確化しており、当時の出生数は約109万人でした。それに対し、2022年の出生数はわずか77万人にまで減少しています。各地域では少子化の影響で小学校や中学校の統廃合が進み、多くの人々が母校の廃校という現実に直面しています。これにより、人口減少社会がもはや抽象的な問題ではなく、目に見える形で私たちの日常生活に影響を及ぼしていることが実感されています。

日本の人口減少は、社会全体の構造に根本的な変化をもたらしています。今後も毎年数十万人規模で人口が減少していくことが見込まれる中で、労働市場や働き方も大きな転換期を迎えています。

若年層人口の減少により、企業の採用活動は大きな変化を余儀なくされています。かつては企業が若者を『選ぶ』立場にありましたが、現在では若者が企業を『選ぶ』という色彩が強まっています。この傾向は、単に人材確保の難しさだけでなく、若年層の価値観やキャリア観の多様化を反映しています。

また、多くの産業や市場が縮小の影響を受けており、成長を前提としたビジネスモデルが見直しを迫られています。成功体験を重ねることで得られる”有能感”の獲得も、これまで以上に精緻なマネジメントが求められるようになりました。特に若年層は、長期間勤続することで待遇が向上していくという従来の日本的な働き方に懐疑的な視線を向けています。そのため、柔軟なキャリアパスや即時的な評価制度の整備が不可欠となっています。

このような変化の中、海坂カンパニーは以下の領域で企業を支援し、時代に即した人的資源管理の質を高めるサポートを行っています。

採用・求人活動の支援: 若者にとって魅力的な企業像を構築するためのアプローチを提供。

教育・研修プログラムの充実: 多様な価値観を持つ人材が能力を最大限に発揮できる仕組みを整備。

評価・処遇の最適化: 成長や貢献を公正に評価し、即時的かつ納得感のある処遇制度を設計。

人口減少という未曾有の課題を前に、私たちはともに新しい働き方や社会の在り方を創造していく必要があります。
海坂カンパニーは、変化の中で企業と人材が共に成長する未来を目指します。

第三回内部監査

令和5年10月19日に第三回内部監査を行い処分に関する内部監査をおこないました。や今回はグループ会社の帳簿やマニフェスト、契約書の保管状況や法令順守状況の確認を中心に監査しました。
今後とも法令遵守に努めて参ります。

2023年度高野地区住民懇談会

高野地区の住民をお招きして近況報告、意見交換、ガチャガチャのプレゼントイベントなどをおこないました。